かものはいろ報告日記

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徳島駅前サッカー専用スタジアムが徳島県を救うかもしれない理由

 

はじめに

徳島ヴォルティスのホームスタジアムであるポカリスエットスタジアムは、1971年に開場し、1993年の国体開催に合わせて照明や電光掲示板などが設置された陸上競技場である。
2011年には徳島ヴォルティスのJ1昇格を想定しバックスタンドの個別席化や屋根の設置、トイレの増設など改修が行われた。
最寄り駅の鳴門駅からは約2km、徒歩では約30分という立地であるが、Jリーグの試合時には2000台を超える無料駐車場が近隣から解放されるためドアtoドアな徳島県民からは喜ばれている。
スタンドに高さがあるので陸上トラックがある競技場にしてはサッカーも観やすく、ピッチの水捌けも良いこのスタジアムは個人的にも好きではあるのだが、果たして都市の活性化として機能していると言えるのかと問われれば全くそうは思わない。
スタジアム周りにお店などほとんどなく、車で来た観客はサッカーを観終わればそのまま車に乗って帰ってしまう。
この記事では、徳島県の抱える問題点から、それを解決するために徳島ヴォルティス並びにサッカー専用スタジアムが如何に有用なコンテンツであるかを述べていきたいと思う。

※ここではコロナ禍という状況は考慮しないものとする

 

サッカー専用スタジアムとは

サッカー専用スタジアムとは、その名の通りサッカーをする、サッカーを観ることに特化したスタジアムである。
陸上トラックがないためピッチと客席の距離が近く、陸上競技が行われないためピッチが傷みにくい。サッカー専用と書いたが、ラグビーなども開催できる球技専用球技場というのが現実的だろう。

このようなスタジアムには陸上競技場と比較しメリットとデメリットが存在する。

 

・メリット

先述の通り陸上トラックがないため、観客は臨場感のある試合を楽しむことが出来る。
選手や監督の声、ボールを蹴る音など、陸上競技場やテレビでは分からない情報が飛び込んでくることは、スタジアムへ足を運ぶ価値となる。
距離の遠い陸上競技場ではテレビ観戦の方が試合を観やすいということも多く、わざわざスタジアムに足を運ぶメリットを感じないという人もいる。
暑い日や寒い日、雨の日などは尚更である。
それに比べサッカー専用スタジアムは、テレビでは得ることが出来ない価値を観客に提供してくれるのだ。
これは観客がスタジアムへ足を運ぶのに十分すぎる動機となりえる。

プレーをする選手へのメリットも大きい。
客席の近い迫力あるスタジアムでプレーすることは選手のモチベーションを高めパフォーマンス向上に繋がる。
あのスタジアムでプレーしたいという子供たちの夢にもなるだろう。
陸上競技が行われずピッチが傷みにくいのも利点だ。

 

・デメリット

もちろん良い点だけではない。
陸上トラックがないことにより使用できる競技数は減少する。
2週間に1回の頻度でしか使用されないJリーグだけでは、使われない時間があまりにも長すぎる。
これでは利益を出すのは難しい。
試合日以外の活用法方を整備することが課題となってくるが、世界や日本国内の例を参考にしながら徳島県に合った解決策を見つけていくことが重要になるだろう。

 

サッカーファンはもちろん専用スタジアムが欲しいだろう。
ただ行政の支援を得るには、サッカーに興味のない県民を納得させるに足りえる理由が必要になってくる。
ここからは徳島県の問題と、サッカー専用スタジアムがそれを解決する手段になる理由について述べていきたい。

 

徳島県の抱える問題

徳島県民の主な移動手段は自動車である。
公共交通機関は利用する人も少なく発展もしていない。
私鉄はなくJRも路線バスも赤字続きで、いずれ廃線になるのではないかと思えるほどの状況。
どこへ行くにも車がないと不便で、徳島駅前が衰退していくのと対比するように大型無料駐車場を完備した郊外型ショッピングモールが賑わいを見せる。

人々の需要通りに発展してきた結果がこれなのだから何も問題はない。
ビジネスとしては正しいのだ。
しかし、行政という視点で見るとこの構造には大きな問題がある。
一般企業が利益を出すことを目的とするのなら、行政はその利益構造から漏れた弱者を守ることが仕事だろう。
自動車が利益構造におけるヒエラルキーの頂点に立つ徳島県おいて、免許や車を持っていない人、車の運転が出来ない子供や高齢者、自動車以外で来県した旅行客は交通弱者となり、公共交通機関の死は致命傷となりえる。
現状は税金で赤字を補てんすることでなんとか持ちこたえている公共交通機関も、自ら利益を上げられるようにならなければ未来はないだろう。

話は変わるが、2020年8月をもって徳島駅前に長らくシンボルのように鎮座していた百貨店そごう徳島店が閉店した。
徳島県民にとっては地元テレビ局が閉店の瞬間を生中継するほどのビッグニュースだった。
そして閉店後、徳島市は再び百貨店を誘致しようと躍起になっている。

「百貨店の経営が傾き閉店した後に百貨店を誘致して勝算はあるのか?」

おそらく多くの人はこういう疑問を浮かべたのではなかろうか。
私もその1人である。
徳島駅前の象徴は百貨店だ!という固定概念から、アイコンのためだけに同じ歴史を繰り返そうとしているようにしか思えない。

私は百貨店が悪だと言いたいのではない。
その昔、そごう徳島店はそれ単体で多くの客を呼び込めるビッグコンテンツだったはずだ。
しかし時代は変わり、百貨店だけを目的に徳島駅前を訪れる人はほとんどいなくなった。
もはや百貨店では人を集められないのだ。
私が言いたいのは、駅前に百貨店が要らない訳ではなく、百貨店は駅前再開発の初手として切るべきカードではないということ。
駅前で百貨店が利益を上げられるように人の流れを作ることが最優先であり、百貨店はその後に切るべきカードなのである。

重要なのは、ついでに百貨店に来てくれるビッグコンテンツなのである。
かつてのそごう徳島店のような。

 

駅前とは鉄道のための土地である

ここで考えたいのは、駅前とは誰のための土地か?ということである。
結論から先に言うと、駅前は鉄道利用者のための場所であるべきである。

そもそも駅前が賑わうのは、駅があることで鉄道利用者が集まり、その人たちが周辺の店舗を利用することで起こるものである。
よって利用者が少ない駅周辺は賑わう必要がないのである。
しかし徳島駅前の開発は「駅前は賑わっているもの」という固定概念で行われている節がある。
その例として、徳島駅前を活性化させるために駐車場を無料にするべきだという意見がある。
駅前に車で行くのならもはや駅前である必要がない。
鉄道利用者を増やすという根本を無視した開発は本質的であるとは言えない。
鉄道利用者を増やさなければならない理由は先述した通り交通弱者の救済と公共交通機関の黒字化である。
鉄道利用者が増加し、その結果駅前が賑わうという構造が正しいあり方と言える。

 

鉄道利用者を増やす仕組みづくり

阪神甲子園球場宝塚歌劇団を作ったのは誰かご存知だろうか?
甲子園は阪神電鉄宝塚歌劇団阪急電鉄が作ったものである。
球団や劇団ではなく鉄道会社が作ったものなのです。
ではなぜ鉄道会社がそんなものを作ったのかというと、それは鉄道沿線に人を集められるビッグコンテンツを作り、鉄道利用者を増やすために他ならない。
コンテンツに人が集まり、鉄道利用者が増加し、駅前が賑わう。
それにより沿線居住者が増え街ができ、また利用者が増えるという好循環が生まれる。

徳島駅前の開発において考えなければならないことは

「今の時代、百貨店は人を集められるコンテンツなのか?」

「駐車場を無料にして鉄道利用者は増えるのか?」

という点だろう。

 

駐車場問題

鉄道利用者を増やしたいといっても、駅中心に街が作られていない徳島県において車を捨てろというのは難しい。
では駐車場はどこに作るべきなのか。

乗る駅と降りる駅という考え方がある。
乗る駅とは人々の家がある居住地域にあり、仕事や遊びへ行くために乗り、帰ってくる駅。
降りる駅とは中心地にあり、会社や商業店舗の多い地域にある駅である。
徳島県において徳島駅前は間違いなく降りる駅だろう。
その降りる駅周辺へ車で行っては鉄道利用者が増えることはない。
よって乗る駅まで車で行き、そこから鉄道で中心地へ向かうという導線を作るのが理想だろう。

駅中心の街づくりがされてないが故に、徳島県の駅には駅前に何もないような場所も多い。
まずはそういった場所に無料駐車場(正確には鉄道を利用すれば無料になる駐車場)を整備する。
そしてゆくゆくは徳島駅前の駐車料金は値上げ(障害者など車が必要な人は登録制で割引など)をし、徳島駅前には鉄道で行くのが最も安価で効率的だという仕組みを作ることで公共交通機関利用者を増やす。

 

徳島県が抱えるコンテンツ

乗る駅にどれだけ駐車場を整備しても、降りる駅周辺に行く目的がなければ人は集まらない。
郊外の大型ショッピングモールは便利で楽しい。
それに負けない差別化されたコンテンツを徳島駅前に配置する必要がある。

果たしてそれは百貨店だろうか?

徳島県にはいくつかビッグコンテンツと呼べるものがある。
まずは阿波おどりだ。
徳島市阿波おどりは8月12日~8月15日までの4日間で100万人を超える人が集まる。
もうひとつはマチアソビ。
GWの3日間で7万~8万の人が全国各地から集まり、これから益々発展していくイベントになるだろう。
ただ、これら2つのイベントには共通点がある。
それは1年に1度数日間しかないということだ。
その期間には大量の人で溢れかえっても、年間通して継続的な来客は見込めない。

これらとは別に継続的に集客できるコンテンツが必要となってくる。

まず思いつくのは音楽ホールや劇場である。
これらは人気ミュージシャンやアイドルのライブにチケット代より高い交通費を出しても観に行く人がいるくらい大きいコンテンツだ。
現在徳島県徳島市は新音楽ホールの建設に着手している。
場所は旧文化センター跡に決まり、近くにJRの新駅建設の話も出ている。
旧案では新町西地区の予定だったが揉めに揉めた末白紙となった。
個人的には観光拠点である阿波おどり会館徳島駅との導線にあり、周辺経済効果の見込める旧案のほうが良いと思っていたので残念である。
計画や見積りが甘いと、せっかく良案だったとしても全て無駄になってしまうのだ。

そしてもう一つはJリーグである。
徳島ヴォルティスは毎試合5000人~10000人の観客を集める。
そしてホームゲームはだいたい2週間に1回行われ、年間通して継続的な集客を見込める。
現在徳島ヴォルティスは鳴門のポカリスエットスタジアムをホームスタジアムとしているが、周辺に商業施設はほぼなく、せっかく集まった1万人の観客はサッカーを観るだけで帰ってしまう。
しかしこれが徳島駅前ならどうだろう。
試合前と試合後にサッカーファンたちは周辺の飲食店で食事をし、百貨店で買い物をして帰るなど経済の相乗効果が生まれる。
果たして徳島県にこれ以上大人数かつ継続的に人を集められるコンテンツが存在するだろうか?
徳島駅前を救うものがあるとするなら、それは間違いなく徳島ヴォルティスだろう。

 

徳島ヴォルティスの可能性

サッカーは世界と繋がっている。
たとえアマチュアや学生クラブであっても世界一への道は繋がっているのだ。
徳島ヴォルティスは現在(2021年)日本のトップリーグであるJ1を戦っている。
ヴォルティスが試合をすればSNSに徳島の名が並び、全国放送のスポーツ番組で試合映像が流れる。
ハイライト映像には地方中小企業の看板が写り込み、Jリーグ公式アカウントから全世界の人がその名前を見ている。
そんなこと徳島でヴォルティス以外にあり得るかい?

2018年、徳島ヴォルティスにダビド・バラルというスペイン人がやって来た。
彼はスペインでも名が知られている選手で、バルセロナから得点したこともあるストライカーだ。
そんな彼がヴォルティスの一員としてヴォルティス漣で阿波おどりに参加した。
そして踊っている最中にインスタグラムでライブ配信をしたのだ。
彼のフォロワーは約8万8000人。
徳島ヴォルティスじゃなければそれだけの人(しかも知ろうともしなかった人)に阿波おどりを届けることは出来なかったはずだ。
これは時間でも金額でもない価値である。

 

徳島駅前にふさわしいスタジアムとは

世界にはさまざまなスタジアムがある。
オーソドックスなものから有名建築家の作品。
商業施設やオフィスなどが併設されたものまである。

では、徳島駅前に必要なスタジアムとはどのようなものだろう。

最優先は選手がプレーしやすく観客が観やすいこと。
これは大前提なので今回は詳しく書くのは控える。

まず考えるべきはJリーグの試合がないときの使い道だろう。
商業施設もいいが、それよりコンテンツを生む施設のほうが望ましいと思う。
例えば県も積極的に推進しているeスポーツの拠点にする案はどうだろうか。
あとはスポーツジムだ。
徳島ヴォルティスもコンディショニングプログラムを行っているが、健康増進に関する施設は徳島県の高齢化や糖尿病患者の多さといった問題と合致するのではないだろうか。
大塚製薬が関わってくれる可能性もある。

もちろん阿波おどりやマチアソビなど既存イベントで有効活用出来ることもスタジアムの存在価値向上につながる。

建築物としての価値も欲しい。
徳島ヴォルティスの新クラブハウスは阿波藍がふんだんに使われているが、スタジアムにも徳島県独自の要素があると唯一無二の価値が生まれる。
阿波藍はもちろん阿波青石などを使ったスタジアムが出来ると建築物を見るための客も訪れるようになるだろう。
有名建築家のネームバリューより独自性が重要なのだ。

 

おわりに

2021年3月にU-24日本代表の試合が行われた。
久保建英や板倉滉など世界で活躍するプレーヤーも出場した試合だ。
開催されたスタジアムは収用人数約15000人の北九州スタジアム
約18000人収用できるポカリスエットスタジアムよりも小さいスタジアムで日本代表の試合が行われたのだ。
では徳島で日本代表の試合が開催されず、北九州では行われたのは何故だろう。
答えはサッカー専用スタジアムだったから以外に考えられない。
逆を言えばサッカー専用スタジアムさえ作れば徳島県で日本代表の試合が開催される可能性は物凄く高まると言うことになる。
サッカー専用スタジアムは、スタジアムで観る観客にも、テレビで観る観客にもサッカーというスポーツの面白さを最も良く感じさせてくれる。
世界のサッカーファンや関係者に、日本にはこんなに素晴らしいスタジアムがあるというアピールになる。

 

この記事が最初に定めた徳島駅前にサッカー専用スタジアムを作るべき理由は、公共交通機関の利用者を増やし交通弱者を救う街づくりである。
しかし鉄道は本当に必要なのかという問題がある。自動車の自動運転技術が向上し、高齢者や子供でも運転せず車で好きな場所へ行ける世界が来るかもしれかい。
そうなれば鉄道は本当に必要なくなるだろう。
その未来に賭けて鉄道中心の街づくりはしないという選択もあるが、もはやそれは行政の政治判断なので私が口を出せることではない。
しかしそれでも鉄道を活性化させるべきだと考える。
なぜなら交通機関である鉄道自体が大きなコンテンツであるからだ。
鉄道オタクというのは数あるオタクのなかでも有名な部類だろう。
それだけ鉄道というコンテンツは魅力なのだ。
オタクが存在するジャンルはどれも魅力的なのである。
そういう人を惹き付ける事が出来るものを一つひとつ大切に出来る街は、本当に魅力的に映る。

 

スタジアム建設は決して安いものではない、ある意味賭けとも言えるかもしれない。
しかし今、徳島県でこれほどまでに勝ちの見える賭けがあるだろうか?

こんなに未来を感じられるものがあるだろうか?

徳島駅前サッカー専用スタジアムは、徳島県を救えるのだ。