エレンタール概論
エレンタール概論
クローン病の栄養療法に用いられる栄養剤に「エレンタール」というものがあります。
看護師さんの話を聞くと苦手で飲めない人も少なくないというこの栄養剤。
今回はこちらについて書きたいと思います。
エレンタールとは
- エレンタールとは、低残渣性・易吸収性の経腸的高カロリー栄養剤です。
- 窒素源はアミノ酸で、蛋白消化を必要としません。
- 吸収に腸への負担がほとんどなく、脂肪は必要最小限しか含まれていません。
- 1袋(80g)300kcalで5大栄養素をバランスよく配合した完全栄養組成物です。
- 元々はNASAで宇宙食として開発されましたが、少量で完全な栄養を満たし、低残渣であることから完全静脈栄養法(点滴)に匹敵する手段として医療のための栄養剤として開発されるようになりました。
エレンタールの効果
腸管への負担が低い
ほぼ完全に吸収されるため残渣が少なく、糞便量が減少し腸への負担が減ります。
栄養状態良好維持
5大栄養素をバランス良く配合しているため高いカロリーを負担なく摂取できます。
(栄養価が高いだけあり、エレンタールを溶かして作ったドリンクは手に付くとベトベトになります。
床に1滴落ちるとベトベトのテカテカで乾くとかなり落としづらいので要注意。)
消炎作用
エレンタールに含まれるアミノ酸がマクロファージ(炎症を引き起こすTNFαなどを出す細胞)の活性化を抑え、炎症を抑える効果が期待できると言われています。
エレンタールの服用方法
- 1袋80gの粉末を、300mlの常水又は微温湯に溶かして服用します。
- アルミ袋入りタイプとボトルタイプがあり、
- アルミ袋入りタイプはシェイカーに粉末と水を入れ、よく振って溶かして飲みます。
- ボトルタイプは粉末が入っているボトルに水を入れ、よく振って溶かして飲みます。
- フレーバーやゼリーミックスというものがあり、味を変えたりゼリーにして服用することが出来ます。
溶解時の注意点
- 水でもしっかり振ればよく溶けますが、ぬるま湯とかお湯で溶いた方が粉感が薄れます。
- 付属シェイカーはプラスチック製のため、お湯で溶かす場合ボトルが変形&粉が膨張して空気が発生するため、振ると漏れて出てきます。
これらに留意した自分流の作り方↓
- シェイカーにエレンタールとフレーバーの粉末を入れます
- お湯を100mlほどを注ぎます
- 緑の蓋をしっかり閉め、飲み口の蓋を少し開けて空気の通り道を作ります。
- 緑の蓋に出来るだけ液体が付かないようぐるぐる回すように溶かします。
- 8割程溶けたら冷水を100mlほど追加します。
- 同じようにぐるぐるして溶かしましょう。
- これで堆積してる粉末はだいたい溶けます。
- 残り100ml冷水を容器へ注ぎましょう。
- 最後に飲み口の蓋もしっかり閉めて、ばしゃばしゃと勢いよく振ります。
- 完成です!
※お湯や冷水の温度によって溶けやすさは変わってくるのでその時々で調整要
※最終的な水温はお湯と冷水のバランス調整をしてお好みで
エレンタールの味
エレンタールは高い栄養素が配合されている一方、腸への負担を減らすため砂糖などは勿論入っておらず、味への配慮は全くされていないと言っても過言ではありません。
しかしこの不味い液体300mlを毎日何本も飲まなくてはいけないのは相当にキツい。
そこで少しでも飲みやすくするために「フレーバー」というものがあり、それを混ぜて飲むことで飲みやすくなります。(決して美味しくなるわけではない)
今回はプレーンのエレンタール味を紹介しましょう。
色は白。
何味かと問われても答えられないようなケミカル味です
口に入れた瞬間吐きそうになるみたいに全く飲めないっていうほどではないのですが、1杯飲みきるのが限界ですね。
毎日3杯飲むとなると1日でギブアップです。
まあとにかく不味い。
なのでフレーバーなしで飲み続けるのは不可能と言ってもいいでしょう。
まとめ
自分は現在、1日3袋飲んでいて、300kcal×3=900kcalで1日の摂取カロリーの約半分をエレンタールで補っている状態です。
人によっては1日で6本とか飲む人もいるらしいです。
処方箋には毎食後と書かれて出されていましたが、食前でも食間でも食中でも何時でも良いそうで、薬ではなく食事感覚で考えてくれたらとのことでした。
自分の場合は食前に飲んで、食事でエレンタール味を掻き消す感じで飲みます。(絶食中は関係ないですが)
カプセルや錠剤、粉薬とは違い量が多く、味もしっかり感じるのがツラい点ではありますが、先生も「重要なものなのでしっかり飲んで欲しい」とのことでした。
自分はあまり苦にせず飲める人だったので良かったですが、苦手な人は本当に辛いだろうなと思います。
次回はフレーバー編です。