トランス脂肪酸とクローン病の関係性を検証
トランス脂肪酸
クローン病では脂質を控えることが重要ですが、油脂にもさまざまな種類があります。
その中でもトランス脂肪酸はクローン病関係なく健康に良くないと言われることが多い油です。
今回はこのトランス脂肪酸についてまとめていきたいと思います。
トランス脂肪酸とは
トランス脂肪酸とは、
不飽和脂肪酸の一種で天然にできるものと、
水素添加という油脂製造の中で加工・精製によりできるものがあります。
天然のトランス脂肪酸は牛肉や牛乳の中に微量含まれており、
加工・精製によりできるものはマーガリン、ショートニング、ファットスプレッドに多く含まれています。
サラダ油など精製された植物油脂にも微量含まれます。
人体への影響
動脈硬化のリスク増
トランス脂肪酸は、悪玉コレステロールを増加させ、善玉コレステロールを減少させると言われています。
それにより動脈硬化や心筋梗塞などのリスクを高める可能性があると報告されています。
免疫機能の低下
他にも、体内で細胞膜の形成時において弱く不安定な細胞膜を作る要因となり免疫機能の低下を引き起こし、慢性炎症性疾患、アトピー性皮膚炎、アレルギー、クローン病など多くの病気との関連が指摘されています。
発ガンリスク
体内の酸化が進み、細胞遺伝子が酸化されてガンになる可能性が増加するそうです。
各国の対策
WHOはトランス脂肪酸の摂取量を総摂取エネルギーの1%未満とするように勧めています。
日本人の平均摂取量は総エネルギーの0.3%で、WHOの勧告値を十分に下回っています。
そのため農林水産省はトランス脂肪酸だけに着目するのではなく、脂質全体の摂取量に考慮するべきであるという考え方を持っています。
日本では表示義務などはありませんが、
アメリカのニューヨーク州やカリフォルニア州、カナダ、台湾、タイではトランス脂肪酸の食品への使用を禁止しています。
EU加盟国やシンガポール、韓国、中国、香港ではトランス脂肪酸の表示が義務付けられています。
デンマークでは、トランス脂肪酸が製品に含まれる油脂100 g当たり2gを超えてはならないとする規則を設けています。
クローン病とトランス脂肪酸
免疫機能を低下させるトランス脂肪酸はクローン病との関係性が指摘されています。
ただ現状、関連を明確に示す報告はありません。
とはいえ自分の栄養指導でもトランス脂肪酸は控えるよう言われたことを考えると、可能な限り避けた方がよいと考えるべきでしょう。
まとめ
様々な病気との関連性が指摘されているトランス脂肪酸ですが、日本では現状規制などはされていません。
クローン病ではトランス脂肪酸以外にも控えるべき油が多くあり、それと同じようにトランス脂肪酸も控えるべきだと考えます。
クローン病の場合は、「どの油がダメなのか」ではなく、「どの油は摂取してもいいのか」という考え方の方が分かりやすいのではないかと思います。
ただ市販品を買う場合など、トランス脂肪酸が何に含まれているのかなどは知っておく必要性があります。