クローン病に良い油と控えるべき油
油
クローン病では1日の脂質の摂取量が30gを超えると再燃のリスクが高まると言われています。
しかし脂質は三大栄養素のひとつで、人間の生命維持や身体活動などに欠かせないエネルギー源です。
そのため摂取する脂質の種類や量は気を使わなければならないポイントです。
今回は脂質の種類とクローン病患者が摂るべき油と避けるべき油についてまとめたいと思います。
脂質の分類
脂質の分類の仕方は2つの見方があり
「動物性脂肪と植物性脂肪」
という分け方が出来ます。
この2パターンそれぞれの違いについて見ていきたいと思います。
動物性脂肪と植物性脂肪
動物性脂肪
動物に含まれる脂肪で、身体活動の大きなエネルギー源となります。
植物性脂肪
植物の種子などから取り出される脂肪で、血液中の中性脂肪やコレステロールを調整する働きがあります。
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸
脂肪酸とは、脂質をつくっている成分です。
脂肪酸は構造の違いによって飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類できます。
飽和脂肪酸
科学的に安定した脂肪酸です。
飽和脂肪酸は重要なエネルギー源である一方、とりすぎるとコレステロールや中性脂肪が増加し、動脈硬化が進んで、冠動脈疾患や肥満、糖尿病などの危険性が高まります。
不飽和脂肪酸
酸化を起こしやすく不安定な脂肪酸。
さらに2種類に分類することができる。
体内で作ることができる。
代表的な脂肪酸のオレイン酸は、血中の善玉コレステロールはそのままで、悪玉コレステロール濃度を下げると言われています。
多価不飽和脂肪酸
体内で作ることができない必須脂肪酸。
さらにn-3系とn-6系に分けられ、この2つの違いは科学的な結合の違いである。
・n-3系脂肪酸
・n-6系脂肪酸
リノール酸、アラキドン酸などがある。
クローン病に推奨される脂肪酸
パルミチン酸、ステアリン酸など
- n-6系脂肪酸
リノール酸、アラキドン酸など
で、
推奨される脂肪酸は
- n-3系脂肪酸
- n-9系脂肪酸
オレイン酸など
です。
推奨されない理由
炎症を亢進させる可能性がある。
推奨される理由
- n-3系脂肪酸
抗炎症作用が期待できる。(薬物療法のように強力な抗炎症作用はない)
- n-9系脂肪酸
消化吸収に優れ比較的安全。
油一覧
推奨されない油
豚脂(ラード)、牛脂(ヘッド)、パーム油、ヤシ油など
- n-6系脂肪酸
紅花油、ひまわり油、綿実油、大豆油、コーン油、ごま油、 種実類、米油など
推奨される油
- n-3系脂肪酸
しそ油、えごま油、あまに油、菜種油など
- n-9系脂肪酸
オリーブオイル、キャノーラ油、べに花油、なたね油、落花生油、アボカドオイル、アルガンオイル、カメリアオイルなど
おすすめの油
アマニ油
アマニ油にはn-3系脂肪酸であるα-リノレン酸が多く含まれています。
α-リノレン酸は人間の体で作れない必須脂肪酸であり、炎症を抑える作用があります。
ただし、熱に弱く酸化しやすいという弱点があります。
オリーブオイル
オリーブオイルはn-9系脂肪酸であるオレイン酸系の油で、比較的安全と言われています。
熱に強く酸化しにくいので調理用に向いています。
まとめ
推奨される油でも油には違いないので摂取量に注意しなければいけません。
栄養士さん曰く、ファーストフード店で使われる油は品質が良くないので食べない方がいいそうです。
油は数多くの種類があり、全ての成分を把握することは困難です。
クローン病の場合、摂取してもいい油だけ把握して、それ以外の摂取は控えるというやり方のほうが分かりやすいのではないかと思います。
摂りすぎてはいけないとはいえ、脂質は人間の活動に必要な栄養素なので、違いを知り上手く摂取出来るといいですね。